近年、国内における人材不足が深刻化し、技能実習生を積極的に受け入れる企業が増えています。同時に技能実習生の受け入れ人数増加に伴い技能実習生の失踪人数も増加しており大変問題になっています。
年度 | 在留している技能実習生 | 失踪した技能実習生 | 失踪する割合 |
H26 | 155,206人 | 4,847人 | 3.1% |
H27 | 167,626人 | 5,803人 | 3.5% |
H28 | 192,655人 | 5,058人 | 2.6% |
H29 | 228,588人 | 7,089人 | 3.1% |
H30 | 274,233人 | 9,052人 | 3.3% |
平成26年からの5年間で平均して毎年3.1%、5年間の合計26000人の技能実習生が失踪しています。
なぜ技能実習生は失踪してしまうのでしょうか。
<賃金が少ない>
厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」(2019年)によると、外国人技能実習生の平均賃金は15万6,900円となっています。この金額から保険料等が控除され、さらに居住費や水道光熱費が天引きされた額が手元に入ってきます。
実習生の中には多額の借金を抱えて日本に来る人も少なくありません。こうした実習生は日本で働きながら借金を返す必要がありますが、賃金が少ないために生活費と借金返済で毎月精一杯というのが現実で、本来の目的である「お金を稼ぐ」ことができません。こうした理由からもっと稼げる職を求め失踪してしまうケースが後を絶ちません。
<労働環境が過酷>
建設業や工場業など、労働時間が長い上に低賃金であり、機械や工具を扱い、高所など気を付けなければいけない状況でさらに夏は暑く冬は寒い中仕事をしなければなりません。過酷な労働環境での労働に耐えられず技能実習生が失踪するケースもあります。日本人にとっても過酷な環境で、さらに言葉が通じず文化の違いから理解をされずさらにストレスをためている技能実習生が多くいます。
<実習後も働きたい>
日本語も技術も習得し、日本での生活に慣れた技能実習生は、技能実習終了後も日本でもっと働きたい、帰国したくないという思いから失踪してしまうケースもあります。
<文化や言葉の違いによるストレス>
技能実習生は、日本で技術を習得し母国の経済発展につなげることを目的として日本へとやってきます。しかし言葉の違により日本人と意思疎通がうまくできないことから、不満やストレス、悩み事を抱えてしまいます。
<指導が厳しい>
実習生の中には周囲の輪を乱すような人もいますので、厳しく指導することも必要になります。正しく指導することは重要ですが、外国人という事で日本人より厳しくしてしまうことで、実習生が対等に扱われていないと感じ、無断欠勤や失踪につながるケースもあります。
その一方で、技能実習生に優しくしすぎた結果、社員や社長が舐められてしまい安易に失踪してしまう場合もあります。
<労働条件への不満>
契約内容や労働条件を正しく理解せず、日本で働き始めたことで、「労働時間が長い」、「作業内容がきつい」、「保険料等控除額が高い」等、不満を募らせ、他の職を探すべく失踪に至るケースもあります。
<暴力を受けた>
特に、建築業は就業している人達が高齢化している中で、若い人達の人材不足が年々深刻化しています。このような背景には、労働時間が長く低賃金であり、さらにパワハラともいえるような指導も問題となっています。また、技能実習生を「低賃金な労働力」と捉える現場が減らないことも技能実習生の失踪につながっています。
<失踪した実習生のその後>
失踪した技能実習生がその後どのように過ごしているのか、
・受け入れてくれる会社や個人事業主を見つけて、そこで勤労に励む。
・窃盗団を結成して、万引き・強盗・窃盗などを繰り返す。
・失踪した実習生をあっせんする仕事を始める。
・元いた実習先よりも安い時給で働かされる。
・再就職先では残業代を支払ってもらえなかった。
・酷いアパートに押し込められ、低賃金で働かされた(実習生時代よりも酷い)。
・警察&入管からガサ入れを受けて強制送還。
・薬物に手を出した。
・窃盗犯で逮捕されて帰国。
この一例を見ても彼らの不満や悩みが解消される結果にはなっていません。
「失踪=解決」とはならないようです。
<技能実習生が失踪しないための対策>
技能実習生の失踪原因は様々ですが、全体を通して実習生とのコミュニケーション不足が失踪を助長していると考えられます。
コミュニケーションをしっかりとり、理解しあえる環境があれば失踪に至らずに済む場合もあるのではないでしょか。
そのためには、実習生が悩みを相談しやすい環境作りや日常的な会話をする等、企業が意識して取り組むこと、また些細な事でも監理団体と協力し問題に向き合うことが大切です。
サンエス協同組合ではスリランカ実習生やフィリピン実習生のケアとして、不満や悩みがあった場合、通訳を通して悩みを理解し、正しい解決方法をもって向き合います。
また、契約段階では送出機関と連携を取り、実習内容や雇用条件、作業内容について実習生の理解を得た上で契約をしていますので、実習開始後の理解不足による不満が起きないよう対策をしています。
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