登録支援機関とは、特定所属機関(受入れ企業)からの委託を受け、特定技能1号外国人が、
特定技能1号の活動を安定的かつ円滑に行うための、在留期間における支援計画の作成、実施を行う機関になります。
特定技能外国人を雇用する受入れ企業(団体)は特定技能所属機関と呼ばれます。
特定技能所属機関は、特定技能外国人の職場、日常生活、社会上の支援を行うことが義務付けられています。
特定技能外国人の支援は、書類作成等で専門的な知識が必要になるケースもあり、
雇用主である特定技能所属機関が、自身で支援を行うのが難しいこともあります。
そこで、登録支援機関が、特定技能所属機関に委託される形で、特定技能外国人の支援計画書の作成、
実施を代わりに行っていくのです。
特定支援機関として登録できる個人、団体は「業界団体」「社労士」「民間法人」「行政書士」など様々です。
支援計画書の作成が行える個人、団体であれば、原則として登録支援機関として業務を行うことができます。
特定技能制度における登録支援機関の役割・支援内容
☆支援体制の構築・支援計画書
登録支援機関の主な仕事は、支援体制の整備、並びに支援計画書の作成になります。
特定技能所属機関から委託を受けて、特定技能外国人を支援するための計画を立てたり、
各種支援(義務的支援、任意的支援)の計画を立てていきます。
特定所属機関が、特定技能外国人に対して支援業務を行うことが難しい際に、
登録支援機関へ仕事が依頼されます。
業務委託という形式になりますが、仕事内容は非常に責任のあるものです。
支援の内容については、上述した義務的支援、任意的支援となります。
登録支援機関として登録されると、四半期に1回ごとに支援状況の報告を行う義務が生じます。
適正に支援が実施されているかどうか、行政機関へ報告する義務があります。
登録支援機関による支援は、 下記の2種類に分けられます。
・義務的支援
・任意的支援
☆義務的支援
特定技能所属機関の義務的支援とは、特定技能外国人に対する支援のうち、
「必ず実施しなければならない支援」のことを指します。
下記が、主な義務的支援内容となります。
①事前ガイダンスの提供
特定技能所属機関または委託を受けた登録支援期間は、特定技能外国人に対して、情報提供ガイダンスを行う義務があります。
ガイダンスでは、以下の内容を説明することが求められます。
・業務内容、報酬額、労働条件
・日本で行える活動の内容
・入国の手続き
・保証金の支払いや違約金などに係る契約を現にしていないこと、及び将来にわたりしないことについての確認
・特定技能雇用契約の申込みの取り次ぎ、または活動の準備に関して自国等の機関に費用を支払っている場合は、
その額及び内訳を十分理解して、その期間との間で合意している必要があること。
・外国人支援に要する費用について、特定外国人に負担させないこと。
・入国時には、港や飛行場から特定技能所属機関まで、特定技能外国人の送迎を行うこと。
・適切な住居の確保のために、支援を実施すること。
・職業生活、日常生活または社会生活に関する相談や苦情を受ける体制があること。
・支援担当者の氏名及び連絡先
事前ガイダンスは、特定技能外国人が十分に理解できる内容でないといけません。
したがって、特定技能外国人が理解できる言語によって行う必要があります。
日本語の技能が不十分であると見られる場合は、理解可能な言語でガイダンスを行う必要があります。
文書の郵送や電子メールでの送信でガイダンスを済ませることは認められていません。
必ず、対面もしくはテレビ電話など、互いの表情が見える状態で行う必要があります。
また、事前ガイダンスに際して、「事前ガイダンスの確認書」に特定技能外国人の署名をもらうことが必要です。
ちゃんとガイダンスを聞いて、内容を理解したのか、確認することが必須となります。
②出入国の際の送迎
特定技能外国人が入国する際は、下記の2か所間の送迎を行う義務があります。
・上陸手続きを受ける港または飛行場
・特定技能所属機関の事業所または当該特定技能外国人の住居
出国する際も「出国手続きを受ける港もしくは飛行場」まで送迎を行う必要があります。
また、単に港・飛行場に外国人を送り届けるだけでなく、保安検査場の前まで同行して、
入場を確認する必要があります。 一時帰国の際は、出入国の支援を行う必要はありません。
③住居確保・生活に必要な契約支援
特定技能外国人の住居について、下記のいずれかの支援を行う必要があります。
・特定技能外国人が賃貸人として賃貸契約を締結する場合は、不動産仲介業者や賃貸物件の情報を提供して、
必要に応じて外国人に同行して、住居探しの補助を行う
・特定技能所属機関などが自ら賃貸人となって賃貸借契約を締結し、1号特定技能外国人の合意のもと、
特定技能外国人に対して住居として提供する
・特定技能所属機関が所有する社宅などを、1号特定技能外国人の合意のもと、
当該特定技能外国人に対して住居として提供する。
また特定技能所属機関、もしくは登録を受けた登録支援機関は、
特定技能外国人が日本で生活する上で必要となる下記の事項について、補助を行う必要があります。
・銀行、その他の金融機関における預金口座または貯金口座の開設手続き
・携帯電話の利用に関する契約手続き
・電気、ガス、水道等のライフラインに関する手続き
必要に応じて、特定技能外国人に同行して、
「必要な書類の提供」「窓口の案内」を行うことも義務付けられています。
④生活オリエンテーションの実施
特定技能外国人に対して、入国後に下記の情報を提供する「生活オリエンテーション」を実施する必要があります。
・金融機関の利用方法
・交通ルール等
・医療機関の利用方法等
・交通機関の利用方法等
・生活ルール、マナー
・生活必需品等の購入方法等
・日本で違法となる行為の例
・気象情報や災害時に行政等から提供される災害情報の入手方法等
・特定技能所属機関等に関する届出
・住宅地に関する届出
・社会保障および税に関する手続き
・その他の行政手続き
・相談または苦情の申出に対応する支援担当者の氏名と連絡先
・相談または苦情の申出をすることができる国もしくは地方公共団体の機関の連絡先
・外国人受け入れ体制が整備されている病院の名称、所在地および連絡先
・トラブル対応や身を守るための方策
・医療通訳雇入等をカバーする民間医療保険への加入案内
・緊急時の連絡先
・気象情報、避難指示、避難勧告等の把握方法、災害時の避難場所
・入管法令および労働関係法令に関する知識
・入管法令に関する違反がある場合の相談先と連絡方法
・労働に関する違反がある場合の相談先と連絡方法
・特定技能雇用契約に反することがあった場合の相談先と連絡方法
・年金の受給権に関する知識および脱退一時金制度に関する知識と、それらに関する相談先、連絡先
・人権侵害があった場合の相談先と連絡方法
上記内容の生活オリエンテーションは、特定技能外国人が十分に理解できる言語で実施することが求められます。
⑤公的手続きへの同行
・必要に応じ住居地・社会保障・税などの手続の同行、書類作成の補助
⑥日本語学習機会の提供
特定技能所属機関、または登録支援機関は、特定技能外国人に、下記のいずれかの支援を行う必要があります。
・就労、生活する地域の日本語教室、日本語教育機関に関する入学案内の情報を提供すること
・自習学習のための日本語学習教材やオンラインの日本語講座に関する情報を提供すること
・特定技能外国人との合意のもと、特定技能所属機関等が日本語教師と契約して、
当該外国人に日本語講習の帰化を提供すること
外国人が日本での就業、生活に困らないよう、継続した学習機会の提供が求められます。
⑦相談又は苦情への対応
特定技能外国人から、「職業生活」「日常生活」「社会生活」に関する相談、苦情を受けた差は、
相談内容に応じて助言や指導を行うことが義務付けられています。
「相談又は苦情への対応」では、以下のことも行わなければいけません。
・必要に応じて、相談内容に対応する適切な機関(地方出入国在留管理局、労働基準監督署等)を案内し、
当該外国人に同行して必要な手続きの補助を行うこと。
・平日のうち3日以上、土曜、日曜のうち1日以上に対応し、相談しやすい就業時間外などにも対応できること
・相談及び苦情の対応を行ったときは、相談記録書に記録をしておくこと
・相談及び苦情を受け、関係行政機関への相談又は通報を行ったものについては、
当該外国人の支援実施状況に係る届出書に記載すること
⑧日本人との交流促進
特定技能所属機関、または登録支援機関は、日本人との交流促進に係る下記の支援を実施する必要があります。
・地方公共団体やボランティア団体等が主催する地域住民との交流の場に関する情報の提供
・地域の自治会等への案内
・ 就労または生活する地域の行事に関する案内
これらの手続きの補助を行い、特定技能外国人が日常生活で、日本人と交流する機会を提供することが
義務付けられています。また、各行事の注意事項や実施方法などの説明も行うことが義務付けられています。
⑨転職支援
特定技能所属機関の都合によって、特定技能外国人との雇用契約を解除する場合は、
下記のいずれかの支援を行うことが義務付けられています。
・次の受け入れ先(特定技能所属機関)に関する情報を入手すること
・公共職業安定所そのほかの職業安定機関又は職業紹介事業者等を案内し、必要に応じて特定技能外国人に同行し、
次の受け入れ先を探す補助を行うこと
・特定技能外国人の希望条件、技能水準、日本語能力等を踏まえ、適切に職業相談、
職業紹介が受けられるよう又は円滑に就職活動が行えるよう推薦状を作成すること
・特定技能所属機関等が職業紹介事業の許可又は届出を受けて職業紹介事業を行うことができる場合は、
就職先のあっせんを行うこと
これらの支援に加えて、下記の支援をすべて実施する義務があります。
・1号特定技能外国人が求職活動を行うための有給休暇を付与すること
・離職時に必要な行政手付き(国民健康保険や国民年金に関する手続き等)について情報を提供すること
⑩定期的な面談の実施、行政機関への通報
特定技能所属機関、登録支援機関は、特定技能外国人を監督する立場にある者(上司や雇用先の代表者など) と
「3ヶ月に1回以上」面談を実施する必要があります。
面談をした上で、下記の内容を認知した場合は、関係行政機関へ通報する必要があります。
・労働基準法、その他労働に関する法令および入管法の違反
・旅券及び在留カードの取上げ等その他の問題の発生
面談は、特定技能外国人が十分に理解することができる言語で実施することが義務付けられています。
面談を行った際は、「1号特定技能外国人用及び監督者用の定期面談報告書」を作成する必要があります。
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