近年、国内における人材不足が深刻化し、技能実習生を積極的に受け入れる企業が増えています。
同時に技能実習生の受け入れ人数に比例して技能実習生の失踪が年々増加しており、大変問題になっています。
もしも技能実習生が失踪してしまった場合、様々な対応が必要になります。
技能実習生の失踪が起こってしまった場合に必要な対応
1. 監理団体に報告
まずは技能実習生を受け入れに使用している監理団体へ報告が必要です。
そこから監理団体・送り出し機関・受入れ企業の3者間で捜索します。
2. 警察に相談
失踪した技能実習生が事件に巻き込まれている可能性も十分にあるので、警察へ捜索願の提出を行う必要があります。
3. 外国人技能実習機構に「技能実習実施困難時 届出書」を提出
監理団体から外国人技能実習機構へ「技能実習実施困難時 届出書」を提出します。
「技能実習実施困難時 届出書」にて失踪についての詳細を技能実習機構へ報告します。
提出後は、「技能実習実施困難時 届出書」に記載された理由と、監理団体の監査記録を比較し、記載された理由が正当か否かを外国人技能実習機構が判断します。
その理由が正当な理由だと判断された後に、失踪した技能実習生が警察に捕まり、新たな理由が明らかになった場合は、この新たな理由が正当か否か再度判断されます。
※提出後に技能実習生が企業に戻って来た場合は、技能実習機構の判断で実習継続が可能になるケースがあります。
4. 退職手続きを行う
社会保険・雇用保険の資格喪失手続きをする必要があります。
5. 給与の支払い
受入れ企業は技能実習生が失踪前に就業した分の給与は給料日に支払うことが求められます。
支払わなければ「給与の未払い」扱いになるため注意が必要です。
失踪後の就業していない期間の給与は当然支払う義務はありません。
技能実習生の失踪を防ぐために企業ができる対策
・雇用契約の締結状況を確認する
技能実習生を受け入れる際は、雇用契約を締結する必要があります。
「実習生」という呼び名から、「これは研修なので雇用契約は不要」と考えてしまうかもしれませんが、
実習生は労働者であり、適用される労働関係法令は日本人の場合と同じです。
労働契約期間、労働時間、従事する業務などを明記して、技能実習生に通知しなければいけません。
言うまでもなく、雇用契約を結んだ後は、その内容を遵守する必要があります。
給与や残業代などの条件を労働者に無断で変更すると労働契約法違反になります。
・賃金を見直す
技能実習生にも日本人労働者と同じく、労働基準法が適用されます。
最低賃金や時間外労働、有給休暇などについても、日本人と同じ基準が適用されます。
最低賃金を下回る金額で労働させたり、残業代を支払わないなどの違法行為を行うと、
労働基準監督署から是正勧告や指導を受ける可能性があります。
きちんと賃金を支払っているつもりでも、労働基準法に準じた内容になっているか、見直してみましょう。
・受け入れ後のサポート体制を整える
日本に来た技能実習生の中には、日本の生活環境が肌に合わずストレスを感じる人がいます。
また、日本語の習得が難しいため、日本人従業員とのコミュニケーションがうまくいかず、悩む人もいます。
ここに企業が支援の手を差し伸べることは、技能実習生の心のケアにつながります。
また、部門の責任者や上司とは別の相談役を配置することで、
技能実習生が気軽に悩みを打ち明ける環境を作ることができます。
日本人従業員が日本語または英語で悩みを聞くこともできますが、
技能実習生の母国語で相談できるメンターを配置できればさらに効果的です。
・差別や暴力を容認しない
失踪の主な理由に「パワーハラスメント」が挙げられているように、
人種差別や暴力、いじめが常習的に行われている企業では、技能実習生が失踪するリスクが高いと言えます。
マネジャーや部門の責任者などが、外国人労働者の人権を無視するような言動をとると、
他の従業員も知らず知らずのうちに影響を受けて、
技能実習生へのいじめやパワハラが組織的に黙認される原因になります。
企業内でそのような悪しき習慣を生み出さないためには、
全従業員が技能実習生に対して、「共に働く従業員」という意識を持てるように教育することが有効です。
技能実習制度において、失踪を起こさせないことが大前提ですが、
万が一失踪が起こってしまった場合は適切な対応を迅速に行う必要があります。
技能実習生の失踪を防ぐためにも受入れ企業、監理団体ともに適切な管理等が求められます。
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